2017年12月24日

『JSA』



あらすじ
1999年10月28日午前2時16分、共同警備区域の北朝鮮側詰所で、朝鮮人民軍の将校と兵士が韓国軍兵士により射殺される事件が発生。現場に居合わせた目撃者の韓国軍兵士と朝鮮人民軍下士官は「拉致されて脱出した」、「突如攻撃してきた」と、正反対の供述を行なう。

中立国監視委員会は事件の真相を解明すべく、韓・朝両国の同意を得て、スイス軍法務科将校の韓国系スイス人、ソフィー・チャン少佐に調査を依頼。ソフィーは関係者と接触を繰り返しながら事件の真相に迫る。

JSA
監督 パク・チャヌク

出演
ソフィー・E・チャン
(スイス軍少佐) イ・ヨンエ
イ・スヒョク
(韓国軍兵長) イ・ビョンホン
オ・ギョンピル
(朝鮮人民軍中士) ソン・ガンホ
ナム・ソンシク
(韓国軍一等兵) キム・テウ
チョン・ウジン
(朝鮮人民軍兵士) シン・ハギュン


鑑賞後の感想
「オールドボーイ」「お嬢さん」を見て、この監督すごいなぁと思っていたので、過去の作品を見ようと思いツタヤでレンタル。
登場人物の描き方がどの人も丁寧で、「ああ、この人はこういう人なんだろうなぁ」ということが演技とエピソードから見て取れました。特に、オ・ギョンピルは実はとても優しい人、ということがことあるごとにちょっとした仕草から読み取れます。
そういう意味で、見ている人をオ・ギョンピルに感情移入させようとしているのでしょうか。

中立であるスイスの軍人であるソフィー・E・チャンは、より一層難しい立場の演技でした。
着任してすぐ「1953年以来初めて女性が足を踏み入れた」などという軽いセクハラから始まったり、 前任者からは「板門店はdry forestで小さな火種でも大火事になる」「中立であれ」とことさら強調されるし、南側の将軍は非協力的だし、もっとも当事者がまったく真実を語らないという環境の中だったので、苦悩するシーンが多かったです。
自室で家族の写真立てに飾った自分と母親の不自然なツーショットでは、ザ・伏線って感じでしたね。

ストーリーは、きちんと日付のキャプションが入っていたので分かりやすいし、当事者の陳述書のシーンから回想シーンへとなだれ込むつくりは、見ている人をきちんとリードしてくれる優しさを感じました。
というか、わかりづらい話だという自覚はあるんだろうなぁ。

ことの真相は結構単純な話なんですが、それを読む解くまでの過程がちょっと複雑かなと感じました。
特に分かりにくかったのは、銃弾の数のくだりです。
というのも、イ・スヒョクとオ・ギョンピルの証言では、現場にはその二人と殺された二人の合計四人がいたことになっているのですが、実際にはその場にはソンシクもいたのです。
その二人の証言にはあらわれないソンシクという第三の存在を導くために、客観証拠である銃弾の数の謎を読み解くシーンが
あるのですが、正直いって分かりやすい流れではありませんでした。

それはともかく、特に印象的なシーンは、やはり有名なチョコパイのシーンです。
イ・スヒョクが何気なくオ・ギョンピルに対し、南へ来ないかと誘うシーンです。
ちなみに、あのときのイ・スヒョクの表情から「ついつい口が滑ってしまった」感がありましたが、どうなんでしょうね。
それぞれイ・スヒョクとオ・ギョンピルの陳述書には、端々にお互いの影響力の表れがありました。
銃を抜くスピードよりも冷静さのくだり、だったり、ジッポライターだったり。
これらの要素が、二人を仲良く映すシーンよりもことさら心の交流を描いていたと感じました。

南北間の緊張がある現実では実際にはいまはありえない設定らしいのですが、言葉が通じる同じ民族で分断されている悲哀を、見ていて本当に痛々しく感じることができる一本でした。

ちなみに、別れの日に、三人で写真撮影をしようとした際に、バックにある総書記の写真が映らないようにするシーンがあるのですが、そこはきっと笑うところだったのでしょうね。
posted by 福田茂孝 at 11:54| Comment(0) | 趣味:映画のお話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする