タグクラウド

2008年08月25日

『パソコン用語語源で納得!―パソコンと英語に強くなる本』



『パソコン用語語源で納得!―パソコン英語に強くなる本』
ナツメ社
藤田英時

読後の感想
タイトルの通り、パソコンに関連する知識が五月雨式に書かれているだけなので、興味を持っている人でないと読み進めるのが苦痛になってしまうかな、と思う。

印象的なくだり
アップルのロゴはなぜ一口かじられている?
以前は6つのカラーで色分けされていたが、今では単色になっている。
リンゴの右側が一口かじられていて、その部分がアクセントになっている。飽きのこないデザインだと思う。
それだけではなく、実は「シャレ」が隠されているのだ。
英語でひとかじりのことをbite(バイト)といいコンピュータの情報処理単位のbyte(バイト)にかけたもの(P044)。

過去に読んだ同じ著者の本と感想
Windows終了するのにスタートとはこれいかに?―ふつうの言葉「新釈」でウィンドウズを理解する』 感想はこちら
posted by 福田茂孝 at 08:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 本のお話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月23日

『すべては一杯のコーヒーから―Short latte,tall cappuccino,and grande passion』



『すべては一杯のコーヒーから―Short latte,tall cappuccino,and grande passion』
新潮社
松田公太

読後の感想
熱い、熱いです、この人。
起業をしようとしている人なら一読すべき。
辛い時、苦しい時を乗り越える糧になると確信しました。
この本を読むと、何より自分を信じている人が一番強いと思うようになりました。自分もこんな人になりたいと思ってやみません。
何かを始める時に読み返したい一冊になりました。オススメです。


印象的なくだり
「夢」と「目標」は全く別物だと考えている。目標とは、具体的な計画に基づいて、自分の実生活の羅針盤として必要なもの。
一方の夢とは、たとえ具現性が乏しいとしても、思い描くだけで心が満たされるものだと思う(P007)。

一号店をつくるために、生まれて初めて七千万円もの大金を借りた。私は借用書に印鑑を押す前に、自宅近くのコンビニエンスストアを回った。
そしてアルバイトの募集状況と時給を調べ、一日十五時間働けば、三十年程度で借金の返済ができることを確認した。
別に失敗したからといって、命まで取られるわけではない。
後は自分の力を信じて、挑戦し、最後まで諦めないことだ(P140)。

私はマネージャーフェローたちにこう言っている。
「アルバイトフェローを叱るときは真剣に叱りなさい。そのとき、なぜ叱ったのか理解してもらうために、徹底的に理由を説明してください。そして、何よりもまずアルバイトフェローを好きになること。彼らに成長してもらいたいと心から思うことが大切なのです」
マネージャーとは、お客様だけでなくアルバイトフェローまでも愛さなければ務まらない仕事ということなのだ(P196)。

能力がある人と情熱がある人、どちらを採用するかと問われれば、私は迷わず「情熱がある人」と答える。
他の業界はどうか知らないが、タリーズのような飲食業では、情熱さえ持ち合わせていれば、人は必ず成長できると信じている。
飲食業では、商品と同じくらいにコミュニケーション能力が重要だと思う。
言い換えれば、どんなに能力が高くても、人が好きでなければ務まらない仕事なのだ。
私は常々、店舗のフェローに向かって「同僚もお客様も全員好きになろう」と言っている。
もちろん、誰しも周囲の人すべてを好きになるのは難しい。しかし、まずはそういう気持ちで人と接していれば、何かが変わると信じている。
フェローがお互いを好きになれば、店内のオペレーションがスムーズに運ぶようになるし、お客様を好きになれば、自然とサービスだってアップする。
行列で待たされてイライラしている人を見つけた場合も。その人が好きであれば、少しでも気分をほぐしてあげたいと思うだろう。
そうしたとき、フェローが話しかければ、行列待ちの苦痛だって和らぐというものだ
(P206-207)。

人は成長するための努力を止めてはならない。成長するのを止めたとき、つまり現状に甘んじた瞬間から、衰退が始まってしまうからだ。
どんなに物事が思い通りに進んでいようとも、その状況が永遠に続くことなど有り得ない。常に次を見据えて、備え、行動を起こしていく必要がある。
苦しい将来を想像して、悲観的な気持ちになるということではない。
自分が成功している素晴らしい未来を思い描き、楽しくまた緊張感を持って、次なる挑戦に向かって走り出すということだ
(P226)。

会社を始めて以来、嬉しいこと、悲しいこと、苦しいこと、楽しいこと、本当に様々なことを経営を通じて経験してきた。
以前から感じていたことだが、特にここ数年で痛感するようになったのは、人間の弱さである。ダイエットひとつ取っても一人でやり遂げることは難しい。
また、自分のミスや自分の弱さ、不出来を認められずに、言い訳をしたり、他人のせいにしたりする人がいかに多いことか。
この点は私も常に自戒している。だからこそ、たとえ会社が順調に成長していても、経営者として常に自分を追い込む姿勢が大切だと思う(P304)。
タグ:タリーズ
posted by 福田茂孝 at 22:15| Comment(1) | TrackBack(0) | 本のお話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月22日

『Seldom‐illegal―時には、違法』



『Seldom‐illegal―時には、違法』
角川書店
坂本龍一

読後の感想
『ブレードランナー』や『ブラックレイン』など好きな映画の裏話もあり、また作っている人もたくさん登場するので最後まで楽しく読めました。
文章や話している内容からすると、坂本龍ーという人は大ざっぱでフラフラしているけど、それでいて繊細な人だなぁと感じました。
なんとなく外国に行きたくなる文章です。

印象的なくだり
どんなアーティストでも必ず持っているのは、本当に自分がやりたいクリエイティブな面と、ビジネスというものをどう共存させるかということでしょう。いままでぼくは自分の収入も知らなかった、税金いくら払っているかも……。だから最低、お金の流れだけはこれからは頭に入れとかなければいけない。紬かい経費、たとえばボールペンをいくつ買ったからいくらとかとそこまで知ろうとは思わないけれども、大きなお金の流れだけはね。どこに今どれだけあって、どういうふうに流れていくかだけはきちんと(P075)。
posted by 福田茂孝 at 23:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 本のお話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月17日

『ひとを<嫌う>ということ』



『ひとを<嫌う>ということ』
角川書店
中島義道

読後の感想
他人に嫌われたくない、でも他人を嫌ってしまう。他人を嫌いなのに、「嫌い」とばれると軽蔑され自分も嫌われる。
多くの人はこのように思って、感情をコントロールしているのでしょうけど、中にはこの偽善に耐えられない人もいる。
著者の中島さんはこういった考え方なんだろうなと感じました。
あるべきままの感情を受け入れる、人を好きになるように嫌いになろう、という思想は、そのままは受け入れられませんが、自分の考え方の一つの転換を生み出してくれました。
それにしても、作者の潔癖症には呆れを通り越して感心することしきりです。


印象的なくだり

私は諦めるほかないのです。そして、嫌われているといううことを大前提として、それを受け入れることしかないのです。
この残酷さの中で生きてゆくしかないのです。なぜなら、私自身も同じように振舞っているのですから。
日々、刻々と不特定多数の人々に冷たい「まなざし」を向けている。そして彼らを勝手に裁いている。彼らをさまざまな理由で嫌っている。
批判している。場合によっては、嘲笑している。見下している。軽蔑している。妬んでいる。非難している。
しかも、たとえ聞かれてもほんとうのことは言わないのですから(P027)。

とりわけ、嫌いな人とどうつき合うべきかは大きな問題です。まずは常識から。
ありとあらゆる言い訳を連ねて、その人に会わないように全身全霊コレ努め、ジワジワと当人にそれとなくわかってもらう方法。
私は意図的にこの安全な方法を採らないようにしています。
その生殺しのような残酷さ、しかもこれしかないという自己正当化のずるさに麻痺してしまいたくないからです。
相手を傷つけたくないからという素振りをしながら、じつは自分が傷つきたくないからであることは明瞭であり、しかも追及されたらいつでも「私がXを嫌っているなんてとんでもない」と言えるのですから。
その計算高さ、自己防衛のずるさに耐えがたい
(P029)。

誰でも、嫉妬が自尊心を骨抜きにする、つまり敗者であることを自認する感情であることを知っているのです。
それが、人々によって狭量な醜い感情とみなされていることも残酷なことです。
ですから、嫉妬に狂う人は絶対にそれを認めない。
「羨ましいなんて思っていない!嫉妬なんかしていない!」と叫ぶのです。ここで、嫉妬を認めたらすべてが崩れてしまう。もはや生きていけないのです(P096)。

誰でも知っていることです。
「愛と憎しみの原因が等しい」とは、エヴリーヌのように、かつて自分が愛していた夫の美点Pそのものが、憎しみの原因になるということ。
その場合「記述」が決定的に変わることが重要です。
かつて「如才ない」と意味づけていた夫の性格が「自己防衛」となる。
「用意周到」と意味づけていた性格が「狡猾」となり、「快活」が「軽薄」に変わるのです。
なぜ、この場合「嫌い」に拍車がかかるのか?それは、自分が夫を愛したことそのことに対する屈辱感を相手に全部ぶつけるからです。
自分がこんなに精神誠意愛したのに、相手は報いてくれなかった。
こうした惨めな境遇に突き落とした原因としての相手を激しく憎むのです。復讐の一種でしょう(P116)。

持てる者と持たざる者との会話(P129)

この場合、絶対にへりくだることはない。まして謝ることはない。
あなたは自己点検した結果何の落ち度もないのですから、どこまでも堂々としていればいいのです。
これは大層重要なこと。あなたが、あなたへの「嫌い」の理不尽さにもかかわらず、摩擦を避けようとして相手に服従することは何の解決にもならない。私の経験からしても、ますますその人との関係をまずくするだけです。
相手はますますあなたを理不尽な仕方で支配しようとするでしょう。
そして、あなたは納得して服従しているわけではないのですから、いつも不満と恨みによって全身が充たされ、それが重なって彼(女)の理不尽さにいつか耐えがたくなる。
そのうち、それが相手への新たな憎しみとなって、あなたは相手と一緒にいられなくなる。
あなたがそこを去らねばならなくなる。相手の思うつぼです(P138)。

若くから世に出たモームであればこそ、叙述は真に迫っています。彼はまたなかなか言えない真実を語っている。
成功は人々を虚栄、自我主義、自己満足に陥れて台なしにしてしまう、という一般の考えは誤っている。
あべこべに、それはだいたいにおいて人を謙譲、寛容、親切にするものである。
失敗こそ、歩とを苛烈冷酷にする(P152)。

私の「思想」は「ひとを好きになることと同様ひとを嫌いになることの自然性をしっかり目を向けよ」と書いてしまえば一行で終わってしまうほど簡単なものです(P188)。
タグ:中島義道
posted by 福田茂孝 at 21:48| Comment(1) | TrackBack(0) | 本のお話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月15日

『迷走地図』(上・下)





『迷走地図
松本清張
新潮社


読後の感想
やはりお金と政治がからむ社会派小説が、松本清張の素晴らしさを最も引き出せると感じました。
特に、政治秘書の役割について、様々な含みを持たせながら進む展開や、登場人物が多いにもかかわらず、きちんと喋り方で個性を持たせ、さらに性格付けまで補うのは流石です。
速記、運転手、院内記者などの役割が物語の上で、ジグソーパズルのようにはまっていくのはゾクゾクします。
ただ敢えて苦言を呈するなら、秘書連盟の伏線の置きっぱなし具合と、最後はあんまり納得いきませんが…。


過去に読んだ同じ著者の作品
『共犯者』 感想はこちら
タグ:松本清張
posted by 福田茂孝 at 09:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 本のお話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月10日

『24時間の使い方―2倍に使える時間の管理法』



24時間の使い方―2倍に使える時間の管理法』
三笠書房
桑名一央

読後の感想
口頭のコミュニケーションについて触れられているところが新鮮でした。
1984年の本なのに、デール・カーネギーの『人を動かす』が引用されているところに、驚きました。やっぱりいい本は多くの本に引用されるのですね。
速読についてのくだりは、いま最も自分が興味がある分野なので、注意を心に刻もうと思いました。


印象的なくだり
やりかけた仕事は終えてしまう
もし仕事を一度でやり終えてしまわなければ、あなたは一度その仕事を片づけておいて。後でその残りをすることになる。
そして後でそれをするばあいには、もう一度その仕事を思い返し、これまでやったことを跡づけなければならない。
このような時間の無駄をなくすには、次の点に気をつけることだ(P072)。

それからもうひとつ覚えておいてほしいことは、今という言葉は成功のために魔法の言葉であるが、明日、次の週、あとで、いつか、と言う言葉は、しばしばけっしてという失敗の言葉と同義語であるということだ(P076)。

もうひとつ注意を述べておくならば、多くの人は速読法の講習を受けても、いつのまにか新しく身につけた読書スピードをなくして、後もどりしてしまうという事実である。
これは明らかに、読書の改善が一度は行われても、それが日々の実行によって裏づけられていないことから起こることである。
もし速読の技術をほんとうに生かそうと思ったら。つねにそれを実地に用いることによって補強していかなければならないことを、この事実は物語っている(P192)。

口頭のコミュニケーション
話す能力を効率化する方法
できるだけ「即席の」話はしないように心がけることだ。
頭を整理してから話す余裕のないほど緊急な事態というのは、そうざらにあるものではない。
なにを話すかをまとめる数分間の時間は、どんなばあいにもつくれるはずだ。
この短時間を利用して、話すポイントをまとめ、あるいはメモしておくのである(P199)。


過去に読んだ類似の本と感想
『童門式「超」時間活用法』童門冬二 感想はこちら
『時間と上手につきあう法―生き急ぎから真のゆとりへ』小林薫 感想はこちら
『時間をもっと上手に使う201の知恵』アラン・アクセルロッド, ジム・ホルチェ, 宮本 喜一 感想はこちら
『一流の仕事術―仕事を極めるための100の法則』山崎武也 感想はこちら
『入社3年目までに勝負がつく77の法則』中谷彰宏 感想はこちら
『図解整理術』壺阪龍哉 感想はこちら
posted by 福田茂孝 at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 本のお話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月09日

『となり町戦争』



『となり町戦争』
集英社
三崎亜記

読後の感想
実際に手を下すわけでもなく、ただただ数字と情報だけが並ぶ空虚な戦争に参加していくというお話。
いわゆるお役所仕事と戦争のギャップを織り交ぜ、覚悟も自覚もないまま戦争に突入していく様はどこか空恐ろしいものを感じました。現実と重ね合わせたからでしょうか。
時折混じる行政文書のリアリティが、いい意味でのアクセントとなり、非現実感を際立たせます。
伏線も小気味良くまとまっていて、引き込まれました。


印象的なくだり
「戦争というものを、あなたの持つイメージだけで限定してしまうのは非常に危険なことです。
戦争というものは、様々な形で私たちの生活の中に入り込んできます。
あなたは確実に今、戦争に手を貸し、戦争に参加しているのです。
どうぞその自覚をなくされないようにお願いいたします。」(P039)
posted by 福田茂孝 at 21:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 本のお話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月06日

『ビッグイシューと陽気なホームレスの復活戦―The big issue Japan』



『ビッグイシューと陽気なホームレスの復活戦―The big issue Japan
ビーケイシー
櫛田佳代

読後の感想
興味本位で読み始めてみたのですが、細部にわたってとてもリアルで面白いです。若干データは古いですが、販売員ホームレスの方の一ヶ月の収支は大変興味深く読みました。
売り方一つとっても販売員の方も考えているのだなぁと自分もビッグイシューの読者の一人として、少し嬉しく思いました。
直接の支援は出来ませんが、この本を人に薦めることで、何らかの形で応援したいです。


印象的なくだり
ボランティア団体が、ホームレスの人達のために食事を定期的に提供する。
これが「炊き出し」と呼ばれるものだ。
当然そのときはホームレスの行列ができる。
そこでいろいろボランティア団体が働きかけるのは効率的ではある。
ところが炊き出しにもいろいろなしがらみがあるようで、渋谷の炊き出しではビッグイシューの紹介はできないそうだ(P016)。

東京大阪にかかわらず、最初に(有)ビッグイシューからプレゼントされる10部を販売して、それを酒などに使ってしまいそのまま来なくなる人がいる一方、思うように
売り上げることができずに消えてしまう人も多い。
残念だがその人自身の売り方を反省する前に、他に理由を見つけてしまう。
場所が悪い、内容が悪い、誰もフォローしてくれない。
そうなるとホームレス同士の横のつながりで、ビッグイシューはダメだというような悪い噂も広がってしまう。
販売員が増えない理由はたくさんあるのだ(P133)。

最寄りの駅に着いてスタッフの堤君に聞いた。「どこからが釜ヶ崎なの?」、すると「自動販売機のジュースが安くなったら」と言う。
「はぁ……?」と腑に落ちない返事をしながら少し歩くと、確かに進めば進むほど120円の缶ジュースが100円になり、80円になり、左に曲がると、
とうとうほとんどの販売機が70円になっていた(P188)。
posted by 福田茂孝 at 08:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 本のお話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月04日

『私は障害者向けのデリヘル嬢』



『私は障害者向けのデリヘル嬢』
ブックマン社
大森みゆき

読後の感想
多分真面目でいい娘なんだろうなぁ、と思わせる文章。見たまま、感じたままの文章で、障害者の性についての問題提起の一歩手前までは伝わってきました。
ただ残念ながら、どうするとか、問題解決の仮説までは届かない、ただ、「現時点では問題がある」との内容でした。
導入部分は不要かなと感じました。本題と余り関係がなかったので。


印象的なくだり
のほほんと生きている私たちが気づかないところで、たまたま身体の一部が不自由に生まれてきただけのことで、健常者が当たり前に解消できる欲求にさえ不自由を感じている人がいる。
身近に障害を持った人がいなければ、考えるきっかけにすら出会えないのかもしれない(P132)。


過去に読んだ類似の本と感想
セックスボランティア』 河合香織 感想はこちら
posted by 福田茂孝 at 12:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 本のお話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月03日

『北朝鮮 秘密集会の夜―留学生が明かす“素顔”の祖国』



『北朝鮮 秘密集会の夜―留学生が明かす“素顔”の祖国』
文藝春秋
李英和

読後の感想
自分が見ることが出来ない世界、体験することが出来ない出来事はとっても楽しいと再確認させてくれた本でした。
聞けば、かの国の実情を書くことは、生命の危険にも直結する可能性もあるとのこと。作者の勇気と誠実さには感服です。

印象的なくだり
「彼らはカネの使い方を間違っている。この国では、政府にいくら寄付しても無駄。直接の担当者に、賄賂を渡すのにかぎる。数億円を寄付するより、"鼻薬"で五〇万円使うほうが効果絶大だ。これが、この国での商売の秘訣なんだ」(P109)。

南朝鮮(韓国)で反体制デモがあって、どうして北朝鮮でないのか分かるか。答えは簡単だ。南ではデモが"できる"。だが、北では"できない"からだ(P260)。
posted by 福田茂孝 at 22:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 本のお話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月31日

『ほぼ日刊イトイ新聞の本』



ほぼ日刊イトイ新聞の本』
講談社
糸井重里

読後の感想
友人の日記にちょくちょく登場してた「ほぼ日刊イトイ新聞」との文字。
見てみるとなかなか面白く、興味をもって本まで読んでしまいました。
アイデアを具体化し、形にするまでの物語は、後の成功を知っているにもかかわらずワクワクしながら読めました。この過程を知り、追体験するだけでも価値のあることですが、できれば自分も何かをカタチにしたいと考えるようにさせてくれた本です。

印象的なくだり
ぼくは以前から、マイナスカードを持った人と対等に付き合えないということの不自然さを感じていた。とても弱い立場にいる人には、誰もが妙に遠慮がちに接する。
マイナスカードを持った人の側も、変に居丈高になったり、過剰に善人を演じたりする。自分とは違う部分で他者に接する不自由な世界に入り込んでしまう。
もっとさりげない自然な形の関係があるのではないか。ぼくはこれまでそう思ってきたのだが、癌爺さんは、ありのままの関係を自然に取り結び、ありのままの意見を表現していたのである(P236)。

できるかぎり平らな関係で、おたがいの役割を分け合ったりするようなチームが理想だ。フラットなのに、マナーがあるというような関係がいいと思うのだが、そういう関係をつくっていくためには、きっと自分たちが何のためにしたいのかという「動機がしっかりしていること」がいちばん大切になってくる。これからに期待、ということだろうなぁ(P297)。
posted by 福田茂孝 at 20:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 本のお話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月29日

『下流社会 新たな階層集団の出現』



『下流社会 新たな階層集団の出現』
光文社
三浦展

読後の感想
目に見えない周囲の状況を説明しようとするその心意気はいいのだが、いまいち何が言いたいのか伝わってこない。若干数字をいじってみた印象から抜けきれないのは残念。
結論を前面に出して描いていればもっとわかりやすかったのになぁ。


印象的なくだり
たしかに、インターネットは遠く離れた地域と瞬時にコミュニケーションがとれ、広い世界を縮小したという意味で「世界の縮小」をもたらした。
しかし同時に、インターネットは、人間が実際に出会う他者の数をもしかすると減らす危険もあり、実際に歩き回る行動半径という意味でのリアルな世界を縮小させる面があることも否定できない。つまり、もともと狭い日常の世界がさらに縮小する危険もあるのだ(P260)。
posted by 福田茂孝 at 15:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 本のお話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月27日

『頭がいい人の習慣術―この行動・思考パターンを知れば、あなたは変わる!』



頭がいい人の習慣術―この行動・思考パターンを知れば、あなたは変わる!
河出書房新社
小泉十三

読後の感想
「頭がいい人の」という冠がつくと、途端に胡散臭く感じてしまうのは、きっと僕がそうでないからなんでしょうね、きっと。
 テクニック、小手先、その場しのぎ、とどれもこの本を表すには適切ではないような気がします。全部足してみればちょうどいいのかもしれません。


印象的なくだり
(前略)、人は、こんなことに気づく。
結論というのは、一本だけ生えている幹を抜きとるのではなく、多くの枝から一本の枝を選びとる「選択」なのだ、と。
じつは、この発想法は、「ロジックツリー」とよばれ、結論に行き詰まったときには、大きな助けになってくれる(P111)。
posted by 福田茂孝 at 22:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 本のお話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月23日

『さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学』



『さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学』
光文社
山田真哉

読後の感想
いわずと知れたベストセラー。
普段生活で何となく感じていたことを会計という視点から見るとこうである、という直感の正当性を後付するような内容でした。
一時間ほどで読めてしまうので、とっかかりとしては適切かもしれないけど、あくまでもとっかかり用。
はっきり言ってタイトル勝ち。


印象的なくだり
ギャンブルの極意は、「勝っているときに席を立つ」ことだ(P131)。

(前略)、「ある特定の数字を定期的におさえること」、これが分析の極意であり、これができるかどうかが数字のセンスの有無につながっていくのである(P197)。


過去に読んだ類似の本と感想
『潰れないのはさおだけ屋だけじゃなかった』リテール経済研究会・三銃士編・著 感想はこちら
posted by 福田茂孝 at 23:55| Comment(1) | TrackBack(0) | 本のお話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月22日

『朝10時までに仕事は片づける―モーニング・マネジメントのすすめ』



『朝10時までに仕事は片づける―モーニング・マネジメントのすすめ』
かんき出版
高井伸夫

読後の感想
早起きの効用、いいところを書いた本で、内容自体は同旨の本と大差はありません。
ただ文章は平易で読みやすく、簡潔です。
さすが『3分以内に話はまとめなさい』という本を書いているだけあります。
全体として、伝えたいことが多すぎるために早起きの効用が薄れてしまった感があります。
具体的な方法があれば、なおよかったですが。

印象的なくだり
口頭で指示するのと、書面にするのとでは、相手に与えるインパクトがまるで違うのです。
口頭でいわれ耳だけで聞いたこと、とかく忘れやすいし、正確に伝わらないことも多いものです。
それが書面だとはっきりと伝わる。そういうメリットがあります。
また、コピーで渡し原本を日誌として保存しておけば、「いつ、誰が、何を、どう指示したか」が記録として残ります。
記録があることは、言い訳がしにくくなる。
これだけでも部下の動きが違ってくるはずです。
(中略)一つ留意すべきことは、必ず返事をもらう形にしておくこと(P018)。

夜型の人とのつきあうコツは、別れた後にあります。
お礼を伝えるツールとしては、携帯、メール、手紙いろいろありますが、相手が夜型の人の場合、別れた直後にまず携帯を使うのが意外と有効です。
今日会って一番楽しかったことを思い出しながら一言お礼を言う-これは誰でもやっていると思います(P060)。


早起きの人を見つけて真似をするのもいい
その場合に注意すべきことは、外見を真似ることに重きを置くことです。
「なぜですか」とか「どんなメリットがありますか」などと聞いてはいけない。
聞くなら「どうやっているのですか」とあくまで具体的なことに絞り込むのです(P105)。


一つは「隠せない時代」になったということです。
なぜなら、これらの企業の不祥事が明るみにでるきっかけは内部告発だからです。
インターネットの時代は、企業がいくら秘密を隠そうとしても、知っている内部の人間が一人でもその気になれば、世界中にバラせる。
パーセントの秘密保持は難しいということです(P154)。


過去に読んだ類似の本と感想
『早起きは自分を賢くする』船井幸雄 感想はこちら
『「朝がつらい」がなくなる本』梶村尚史 感想はこちら
『朝からシャキッと仕事ができる!2倍熟睡法』井上昌次郎 感想はこちら
『朝の知的生活術』現代情報工学研究会 感想はこちら

過去に読んだ同じ著者の本と感想
『3分以内に話はまとめなさい』感想はこちら
posted by 福田茂孝 at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 本のお話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月16日

『ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か』



『ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か』
ダイヤモンド社
エリヤフ ゴールドラット, 三本木 亮

読後の感想
制約条件の理論を使って、工場を立て直すという過程を小説仕立てで書いた本です。
一般的には工場を立て直す過程の理論に着目するのかもしれませんが、個人としては、理論の師であるジョナとの関係について興味を惹かれました。
ジョナは、答えを決して教えず、本人に考えさせながら答えを導く方法を取っています。
すぐに答えを与えるのでは、身に付かないし、何より応用が利かずその場限りになってしまうと考えたからだと感じました。
理論も素晴らしいのですが、この教え導く過程に強く印象を受けた作品でした。
形式としては、過去に読んだ『V字回復の経営』三枝匡著を髣髴とさせるないようでした。
向上の経営の様子が気になるのでわくわくでサクサク読めます。


印象的なくだり
ノートに三つの評価指標を書き出した。
純利益、投資収益率、それにキャッシュフロー
会社がお金を儲けているかどうかを知るために必要な指標だ(P079)。

「(前略)、三つの定義に全部『お金』という言葉が含まれている」彼が言った。
スループットは、入ってくるお金。在庫は、現在製造プロセスの中に溜まっているお金。作業経費は、スループットを実現するために支払わなければいけないお金。入ってくるお金、中に溜まっているお金、それから出ていくお金、それぞれに指標があるわけですか」(P115)。

ボトルネックとは、その処理能力が、与えられている仕事量と同じか、それ以下のリソースのことだ。
非ボトルネックは、逆に与えられている仕事量よりも処理能力が大きいリソースのことだ。」(P217)


「(前略)、これからは、仕事のできる人間しかボトルネックを担当させない」(P294)


一、誤ったポリシー、つまり制約条件をすばやく見つけ出す。
二、副産物として破壊的な問題を引き起こすことのない新しいポリシーを策定する。
三、社内から抵抗があっても、これに屈しない導入計画を構築する(P531)。

TOC(Theory of Constraints=制約条件の理論)
まずTOCは「システム改善のツール」であることが言える。
TOCは、現場での個別の工程の生産性や品質の改善ツールではない。
あくまでも企業とか工場全体を一つのシステムと見なし、そのシステムの目的を達成するための改善方法である。
博士は、企業の究極の目的が「現在から将来にかけて金を儲け続けること」と定義した。
企業が金を儲けるには、スループットを増やすか、在庫を減らすか、経費を減らすという三つの方法しかない(P548)。

ボトルネックが有る場合、工場全体の生産量はボトルネックの生産能力で決まってしまう(P549)。


過去に読んだ似たような形式の本
『V字回復の経営』三枝匡 感想はコチラ
タグ:TOC
posted by 福田茂孝 at 14:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 本のお話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月14日

『考具―考えるための道具、持っていますか? 』



考具―考えるための道具、持っていますか?
加藤昌治

読後の感想
日ごろ思いついても流れていってしまうフローの情報をいかにせき止めて形にするか、という点に重点を置いて書かれた本だと感じました。
視点をずらす、などちょっとした工夫の積み重ねが大きな差を生むことを本を通じて教えてくれているようで、気持ちが暖かくなりながら読みました。
あとがきの「読んで、分かって、やらないこと」のくだりにドキッとした人は多いことでしょう。
自戒の意味を込めて、また読みたい本です。
企画書について中心的に書かれていますが、決して企画だけにしか通じない内容ではありません。


印象的なくだり

人の話を聴くことのもう一つの効能は、他の誰かの生活をほんのヒトコマですが共有できることにあります(P059)。

同じことを何度もメモしてしまうこともよくあります。
本当に物覚えが悪い……と落ち込みますが、仕方ない。
また出会えて幸運を喜んで、メモしておきましょう。
きっと自分にとってそれだけ重要な情報なんですね(P063)。

企画が実施されたとき、何がどうなっているのか?
何かを製作したとしたなら、それはどんな姿・形をしているのか?
プレゼンしているあなたがイメージできないのに、話を聞いただけの相手が想像図を頭の中でうまく結べるはずがありません(P179)。

自分が描いている「絵」と相手の「絵」が同じになったら、あなたの企画書とプレゼンテーションは大成功です(P190)。


言葉で伝えられる状況になかったり、相手にとってあまりにかけ離れた世界を創造してもらわなければならないのなら、補足説明をしてビジュアルをつけてあげたいところです。
予算があれば、ゼロから起こした想像図。
なければ似ているもの、世界観を伝えられるような写真が威力を発揮します(P190)。
posted by 福田茂孝 at 14:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 本のお話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月12日

『台湾 したたかな隣人』



台湾 したたかな隣人』
集英社
酒井亨

読後の感想
やや民進党よりの記述が多い点を割り引いても、今の台湾の政治が分かりやすくまとめられている本でした。
特に、政党の成り立ちまで立ち戻った記述は、理解の大きな手助けになりました。
全体としての視点が、市民の立場より政治を見るという見方なのは好印象。
視点が変わるとこうも評価が変わることを教えてくれました。


印象的なくだり
実際、台湾人と仕事をしていると、イベントを計画するときなど、頻繁に日程を大幅に変えたりしている。
しかもその場になっても順序を変えたり、司会者を変えたりする。
最初は閉口したものだが、それは一方では臨機応変で危機にも対処しやすいということでもある。
民進党がたびたび失敗に直面してきたのに、挫折せずに、すぐに気を取りなおし、態勢を立てなおすことができるのは、そうした臨機応変さにあるともいえる(P041-042)。

台湾の民主化の原動力となったのは、活発な社会運動と市民社会だったと考える。
そうした基盤があったからこそ、台湾は順調に民主化を進めることが可能だったのであり、民進党を与党に押し上げることにもなったのである(P050)。

独裁者・蒋経国の穏便な対応については、大局にたったリベラルなものと評価する見方がどういうわけか日本にはあるが、それは見当違いというものだろう。
背景には、環境保護、人権擁護運動など市民社会側の攻勢が、もはや独裁政権の力では抑えつけることができなくなっていた、という情勢があったのである(P080)。

「総統は陳水扁、立法委員は国民党」という人がかなりいるということは、「ねじれ」や「一貫性のなさ」にもみえる。
だが、実際にはそうではない。
要するに、国民党が「中国国民党」であるのは中央本部や台北市だけの話で、一皮剥けば、つまり中南部の地方基層レベルでは国民党もただの地元密着型の地方派閥の連合体でしかない(P148)。

台湾の法制度では地方自治体の権限はそれほど強くはない。
台湾の「県」というのは日本の県と同格ではなく、日本の町村ほどの権限もない。
だから、県レベルで「両岸関係」は争点にもならないし、考えられもしないのである(P161)。

そもそも「台湾は独立国家ではなく、潜在的に中国のもの」という「一つの中国論」はもともと米国が考案したものであって、中国側から提案したものではない。
台湾が民主化して中国と異なる国家として動いている現在でも、米国が時代遅れのこの論に固執するのは、米国の対中戦略と関係がある。
米国は中国全体を民主化して、親米政権にすることを狙っている。
そのために台湾の独立を認めず、曖昧な状態にすることで、中国を米国との交渉につなぎとめておくことができる。
また台湾の地位が曖昧であれば、中台間で緊張が起こり、米国は台湾に武器を売りつけて稼ぐこともできるし、中国に併合されたくない台湾は米国の言うことを聞かざるをえない。
まさに一石二鳥である。
逆に台湾の地位を明確に独立国家と認めた場合、中台の緊張はなくなり、台湾は必ずしも米国の言いなりになる必要もなくなる。
米国にとっては台湾は曖昧にしておくに限るのだ(P180-181)。

戦後、日本は五一年署名のサンフランシスコ平和条約によって台湾を正式に「放棄」した。
同条約には、台湾の帰属先は明記されておらず、台湾の地位は未定となっている(P194)。
タグ:台湾
posted by 福田茂孝 at 23:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 本のお話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月08日

『男30代、悔いなく生きる約束事!―人生の先輩から35通の手紙』



男30代、悔いなく生きる約束事!―人生の先輩から35通の手紙
三笠書房
船井幸雄

読後の感想
せっかく分かりやすくていい本なのに響かないのは何故なんでしょう。
多くのいいことが、雑然と羅列されている感じを受けてしまいます。
もっと骨子が一本通るような文章だと良かったのですが。
内容についてはよくある話。別に30代に限ったことではありませんでした。


印象的なくだり

現状への不平不満や否定は、活力を生み出すことよりも、自己弁護や逃避につながり、周囲の人たちを不愉快にすることが多く、たまたま、それによって活力を生んだとしても、人生を上手に生きるうえで最も大きな条件である、他の人々からの応援を失うことになり、決して得策ではない。
何か問題が起こるたびに自己弁護する人がいるが、それは自分の無能を証明するだけである(P051)。


一人の人間の能力など知れたものだ。
また、人生も無限ではない。時間は限られてるし、会える人も限られている。
したがって、体験しようにもできないことがたくさんある。
それを補ってくれるのが読書である。読書によって、著者の学んだこと
体験したことを自分のものとすることができるからだ(P070)。


私は、すべての人の言動は、その人の立場ではすべて正しいと思っている。
したがって、なるべく多くの人の言動を、「あれも正しいのだ」と肯定し得るように努力するのが、人として生まれてきた以上、人生の挑戦目標であると考えている(P098)。



過去に読んだ同じ著者の本と感想
『早起きは自分を賢くする』 感想はコチラ
posted by 福田茂孝 at 10:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 本のお話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月02日

『不勉強が身にしみる 学力・思考力・社会力とは何か』



不勉強が身にしみる 学力・思考力・社会力とは何か
光文社
長山靖生

読後の感想
 単なる自己批判本かと思いきや、その実は実感に基づく強烈な教育批判の本でした。
もちろん単純な批判ではなく、良くするための批判で、とても有益です。
 子供勉強させるのに、そもそも大人からしてダメである、との内容の文章はドキッとしました。自分の身に置き換えて読むと、思うところが多々あります。
学歴か、実力か、という不毛な問い(P056)
努力と報酬が反比例する社会(P209)
 の二つの章は、秀逸です。
 この本を読むと、日々の努力の大切さが本当に身に染みます。


印象的なくだり

教育改革もまた格差を拡大する方向へ向かっている。
なぜそうなるかというと、(中略)、単純にいって改革に携わる人々は、政治家や官僚や諮問委員会に招かれる有識者(学者や財界の代表)にしても、みな「勝ち組」の人たちだからだ。彼らにとって二極化は、自分たちの利益の増加を意味する。
とはいえ、これは彼らが自分たちの私利私欲のために改革を利用しているという意味ではない。
そういうつもりがなくても、指導者層からは彼ら自身が不利益を被るような発想は、生まれ得ないということだけだ(P015)。

結局のところ、ペーパー試験による評価は、その人の知識量・学力を測定する方法としては、相対的に不公正な要素が入り難いという意味で、適正な手段ということになるのだろう(P027)。

しかし現在の日本人の不勉強ぶりは、子供にお勉強させれば、それでいいというようなレベルを、とうに超えている。
自戒を込めていえば、すでに大人からしてダメである。本当にお勉強すべきなのは、我々大人の側、親の側なのではないか。
孟母三遷の教えというのがあるが、学校の近くに引っ越すよりも親自身が学ぶ姿勢を示してこそ、子供に「がんばれ」とか「やれば出来る」と言えるし、その言葉は子供に届くのではないか。
子供の顔色を窺って夜食を作るよりも、一つのテーブルで子供が勉強しているときに一緒に仕事に必要な専門書を積み上げて次々読破するのもいい。
子供に求める分、自らもリスクを担うのである(P030)。

「やればできる」とは「やらなければできない」の虚飾的告白なのである(P038)。

私は「ゆとり教育」の理想それ自体が悪い、とは思っていない。
だが問題は、意欲や思考力、表現力などを評価するのはきわめて難しいという点にある。
それは現場の教員にとっても、過大な期待と責任を負わせるものなのではないだろうか。
そもそも私などは、子供の意欲や思考力それ自体を教員が判定し得るという考えそのものに、空恐ろしいものを感じてしまう(P040)。

創造性は、基礎的な知識や思考訓練があってこそ、発揮されるものである。
言語を知らない人間は、潜在的想像力があったとしても、他人の前で意見を述べたり文章を書くことはできない(P041)。

ゆとり教育
これは人間の学習意欲(向上心)や思考能力の「右肩上がり」を前提にしている。
好意的に解釈すると「ゆとり教育」を立案した人々は、根が真面目で勤勉な性格だから、全ての人間もそうに違いないと思い込んでいるのかも